安心して食べられるのは食品分析あればこそ!数ある分析方法をピックアップして紹介

食品にはさまざまな栄養や成分が含まれていまが、どのような栄養や成分が含まれているのかを科学的に調べて明らかにするのが食品分析と呼ばれる検査です。

食品分析では、さまざまな分析方法を用いて食品をチェックします。

そこで、ここでは食品分析の方法を紹介するとともに、食品分析を実施する意義についても詳しく解説します。

はちみつの食品分析と効果的な食べ方

含まれる成分はさまざま!食品分析とは食材の成分を客観的に判別するための検査

食品分析とは、食品を科学的な手法で分析し、どのような成分が含まれているのかを客観的に判断するための検査です。私たちが口にする食品には、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、水分といった食材由来の物質以外にも、さまざまな成分が含まれています。

しかし、見た目からは、どのような成分を含んでいるのかまではわかりません。食品分析は、食品中に含まれる栄養素や成分を検出し、だれの目にもはっきりとわかるようにするために実施する検査です。

栄養素一覧表!食品栄養成分検査を見れば食材に含まれる栄養素が詳細にわかります

食品分析にはさまざまな分析方法があります。例えば、レトルト食品やインスタント食品のパッケージには、カロリー、栄養分、食品添加物など、色々な項目が記載されていますが、こうした記載は「食品栄養成分検査」の結果によるものです。

また、介護、看護、栄養士などの仕事をしている人や主婦、料理好きという人なら、職場や本屋などで食品栄養成分表という本を目にしたことがあるでしょう。この本の記載内容も「食品栄養成分検査」の結果に基づいています。

さらに、病院の食事や学校給食などの献立も、食品分析のデータを参考に作られるなど、「食品栄養成分検査」は私たちの暮らしの身近なところに活かされているのです。

アレルギー物質検査とは!食材に含まれるアレルゲンを幅広く検出することができます

食品に含まれる成分は私たちの健康に直接的な影響を及ぼすものです。例えば、卵アレルギーを持つ人の場合、食材に卵が含まれていると知らずに口にしてしまうと、重篤なアレルギー症状を発症し、最悪の場合には死に至ることも考えられます。

こうした事故を未然に防ぎ、だれもが安心して食事を摂れるようにするための検査が「アレルギー物質検査」です。えび・乳・卵・小麦など、アレルギー物質(特定原材料7品目)が混入した食品を販売する場合、販売業者は必ずその使用を明記しなければなりませんが、アレルギー物質検査では、こうした成分を項目ごとに分けて検出することができます。

また、特定原材料7品目以外にも、大豆、あわび、牛肉、豚肉など、特定原材料に準ずる食材の検査も可能です。

検査項目は多数!食品分析では有害物質を幅広くチェックできます

農産物の生産者にとっても、生産した食材にどのような栄養素や成分が含まれているのかは、とても重要な問題です。なぜなら、日本で農作物などの作物を出荷するためには、厚生労働省が通達している「食品衛生法」の基準をクリアする必要があるからです。

この食品衛生法では、有毒物質が検出された食材、あるいは有毒物質が付着したもの、病原菌などに汚染されたものなど、人の健康を損なう恐れのある食材は、出荷することも販売することも規制されています。こうした検査をクリアするのにも食品分析は役立てられています。

食品分析では、食材に含まれる栄養素や栄養価の他、残留農薬の濃度、有毒物質、放射線濃度など、さまざまな項目が検査できます。

客観的な証明が可能!賞味期限などは食品保存試験で決められます

食材を加工して一般に販売する場合には、消費期限や賞味期限を表示する必要があります。これらの期限は卵や乳といった一部の食材を含む場合を除き、原則として生産者が決められるようになっていますが、その期限設定には科学的根拠、合理的説明などが必要です。

こうした消費期限や賞味期限の設定に役立つのが「食品保存試験」です。この食品保存試験を活用すれば、食品を加工して販売している一般店舗でも、科学的根拠をもって、消費期限、賞味期限、保存条件などを商品に記載できるようになります。

食品分析の意義とは!食の安全は客観的な検査があるからこそ

食品分析の目的は、食材に含まれる栄養素や成分を誰が見ても分かるようにすることで、食の安全を確保することにあります。例えば、同じニンジンひとつを取ってみても、国産品と輸入品とでは含まれている栄養素や成分に大きな違いがあります。

しかし、こうした違いは見た目や生産者の経験則などで見分けることができません。このような部分を科学的根拠をもって明らかにするのが食品分析の大きな役割の一つです。また、最近ではグローバル化による食材の多様化、健康意識の高まり、アレルギー疾患の増加などに伴い、食品に含まれる成分への関心が高まってきています。

こうした背景もあり、食品に記載する栄養表示や成分表示もより詳細なものが求められるようになってきていますが、食品分析を利用すれば、加工品の製造販売を行っている一般店舗などでも、詳細な栄養成分表示の作成が可能です。

高まる食品分析の重要性!分析結果は、多くの消費者が注目しています

食の安全性への関心が高まる昨今、農作物の生産者や加工品の販売業者の間では、より詳細な栄養成分表示を作成する動きが加速しています。消費者の間で、食料品を購入する際には栄養成分表示を確認するという人が増えてきており、栄養成分表示の内容が生産物や商品の売れ行きを大きく左右するようになってきたからです。

また、世界的な日本食ブームなどの影響もあり、日本の食材や加工食品が海外に輸出されることも増えてきました。しかし、海外に食材や加工品を輸出するためには、食材に含まれる栄養素や成分を科学的に証明する必要があります。

こうしたニーズへの対応策としても食品分析の重要性は高まってきています。

トラブル解決にも役立つ!食品分析はセーフティーネットの役割もはたしています

万が一、販売した食品から異物混入や食中毒などのトラブルが発生した場合、販売者は食品にどのような物質が含まれていたのかを明らかにしなくてはなりません。食品分析のデータはこうしたトラブルの際にも役立ちます。

例えば、食中毒が疑われる場合、細菌・ウイルス検査やカビ毒分析などの分析方法を用いれば、同時期に販売した製品などから原因を究明できます。また、こうした検査から得られるデータは、トラブルの再発防止やクレームを申し入れ側の不安解消にもつながるものです。

早急に原因を究明できれば、それだけ信頼回復も早まり、売り上げの減少も最小限にとどめることができます。このように食品分析には、トラブルの原因を究明し、損害を与えた側、被害を受けた側、双方の現状を早期に回復させるという役割も担っているのです。

参照…キューサイ分析研究所 … 日本食品センター