はちみつの食品分析と効果的な食べ方

はちみつは、ほとんどの人にとって子供の頃から馴染みのある食材です。近年は、美肌やアンチエイジング、整腸作用、そして殺菌作用や動脈硬化予防など、さまざまな効果があることがわかり、美容と健康のために積極的にはちみつを摂取する人が増えています。

はちみつの食品成分を知ることで理解を深め、効果的に成分を身体に取り入れる食べ方を調べてみました。

はちみつの食品成分

はちみつの食品成分のうち、80%が糖分です。ミツバチが集めた花の蜜はショ糖(スクロース)と呼ばれる、砂糖と同じ成分です。これが巣に持ち帰られて、ミツバチの唾液に含まれる酵素(インベルターゼ)が混入されます。

すると、ショ糖(スクロース)は、ブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)に分解されます。ブドウ糖は穀物や果物からとれる自然界で最も多い単糖類で、動植物がエネルギー源とする物質です。また、特別な場合を除いて脳が唯一エネルギーとする物質で、重要な栄養素です。

果糖も単糖類の一種で、はちみつの他には果物・根菜類などに含まれています。単糖類は、これ以上分解されることがない最小単位なので、速やかに身体に吸収されて胃腸に負担が少ない点で、効率の良いエネルギー源と言えます。

はちみつの食品成分の残りの20%は、水分の他、ビタミン・ミネラル・その他の重要な栄養成分が含まれています。これらの栄養素が占める割合は全体の数%ですが、有用なものばかりなので詳しく見ていきましょう。はちみつに含まれているビタミンの種類は、A、B1、B2、葉酸(B9)、ニコチン酸(ナイアシン、B3)、パントテン酸(B5)、ビオチン(B7)、C(アスコルビン酸)、Kなどです。

ビタミンは、健康を維持するために栄養素が働く際に、潤滑油のような役目をするので、とても大切な栄養素です。必要量は微量ですが、身体の中ではほとんど作れないので、食べ物から取るように心がける必要がある栄養素になります。

次に、はちみつに含まれるミネラルは、カリウム、鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、マンガン、リン硫黄、ケイ素、塩素などです。ミネラルは無機質とも呼ばれ、土や岩に含まれる成分で、臓器や組織を円滑の働かせるための重要な栄養素です。

ビタミンと同じく、必要量は微量ながら身体の中で作り出すことができないので、肉・魚・野菜・海藻などの食物から取り入れるべき栄養素と言えるでしょう。最後に、はちみつに含まれる食品成分の中で糖分(ブドウ糖、果糖)・ビタミン・ミネラル以外の成分として、アミノ酸、有機酸、酵素、ポリフェノールなどがあります。

アミノ酸は美肌やダイエット効果、睡眠、免疫力などに効果を発揮する成分として、近年話題になっています。また、有機酸は果実に多く含まれる酸で、腸内細菌のバランスを整えたり、大腸の悪玉菌を抑えたりする作用があります。

酵素は、食べたものを消化・吸収したり代謝したりする化学反応で触媒として使われるタンパク質です。そして、ポリフェノールは、ほとんどの植物が持っている苦みや色素の成分です。抗酸化作用が強く体の中で発生した活性酸素を無害な物質に変化させる働きがあります。

これらの重要な栄養素が一つの食品でとれる点で、はちみつは非常に優秀な栄養食品であると言えます。

はちみつの効用

はちみつには殺菌作用があります。風邪をひいたときなどの喉の炎症、口内炎、擦り傷・火傷などに効果があります。はちみつが腐らないのは、この高い殺菌作用のおかげなのです。また、はちみつには成長作用があり、便秘解消にも効果があります。

はちみつに含まれるグルコン酸、オリゴ糖、トリプトファン、プロテアーゼなどの成分が作用して腸を健康にしています。グルコン酸は、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やし、オリゴ糖は善玉菌のエサとなります。アミノ酸の一種であるトリプトファンは、幸せホルモンのセロトニンを作り腸をストレスから解放します。

さらにプロテアーゼという酵素がタンパク質の分解を助け、消化を促進します。さらに、はちみつはダイエットにも効果的です。はちみつの糖分は、ブドウ糖と果糖で構成されていますブドウ糖は摂取後すぐに吸収されますが、果糖は摂取後の血糖値の上昇が穏やかなので、はちみつ全体では砂糖よりも血糖値が上がりにくく、脂肪がつきにくいのです。

その他にも、はちみつに含まれる葉酸は、動脈硬化を予防します。葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の核酸やタンパク質を合成するので、不足すると酸素の運搬がうまくいかず貧血になります。血液が凝固しやすくなるので、動脈硬化・動脈血栓ににもつながります。

はちみつは、これらの循環器にも良い効果があります。

加熱によって失われる成分がある?

はちみつの成分の中で、ビタミンCや酵素は加熱によって効力が失われる成分だと思います。一般に売られている瓶詰めのはちみつは、加熱殺菌してあるのでしょうか?栄養素は失われていないのでしょうか?そもそも。はちみつは常温で保存しても腐らないくらい殺菌作用が高い食品ということですが、加熱する必要があるのでしょうか?疑問がどんどん沸いてきてしまいます。

調べてみると、現時点で判明しているのは「はちみつに含まれる酵素は、45℃以上の過熱をすることで著しく減少する」ということです。また、海外では「加熱したはちみつは、はちみつではない」という表現もあるくらいで、日本のように加熱したはちみつが大多数という国は、先進国では珍しいようです。

世界基準では、熱を加えていない「非加熱のはちみつ」が、本来のはちみつで、酵素が生きているのでその恩恵を受けることができます。

はちみつを加熱する理由

一般の食品では、殺菌をするために加熱をするのですが、殺菌力の強いはちみつにの場合は事情が違います。養蜂家がはちみつを採るまでの過程で、4日間くらいの時間をかけてミツバチが羽を羽ばたかせてはちみつの水分を飛ばすのを待つ工程があります。

これ以上水分が飛ばせない極限までミツバチ自身が自分の力で水分を飛ばすまで待った状態のはちみつを「完熟はちみつ」と言います。水分が飛んで一定の凍土に達しないと、はちみつとして販売できないからです。日本の場合、最低糖度は78度と決められています。

しかし、生産効率を考えると効率が悪いということなのか、実際には加熱によって水分を飛ばして糖度を上げている業者が多いのです。そして、糖度が基準値以上であれば「はちみつ」と認められ、加熱する行為自体は違反するものではない、というのが現状なのです。

また、遠心分離器にかけて、フィルターで異物を取り除く場合も、加熱するとはちみつがサラサラになって、効率的に作業ができるので、それを採用している業者が多いということです。これは合法的な作業なのです。一方、海外産のはちみつは、輸入されて瓶に小分けされて消費者に届く時点で加熱されることが多いです。

海外から船で運ばれるとき、海上は温度差が激しく、はちみつは結晶化された状態で届くことが多いので、加熱して瓶詰めされているというわけです。

せっかく非加熱のはちみつが輸入されたのに、消費者に届くのは加熱したもの、といのは非常に残念でなりません。

はちみつを食べる時の注意点

はちみつの風味を味わうだけでなく、その効果の恩恵を受けるためには、非加熱のはちみつを選ぶことが大切です。そして、食べる際にも、加熱しないで常温で食べることを心がけましょう。